
どうもハリーです。
あれは弟が幼稚園の年少、3歳の時、そして僕は7歳で小学校の2年生であったときの話だ。
夜中、母は深夜、パートとしてデニーズで働いていた。デニーズは高級だ。しかしハンバーグがとてもおいしい。そんなことはどうでもいいのだ。
父も仕事だったか飲み会だったか、とにかくその日の夜中は兄と姉、僕と弟の四人しかいなかった。
僕はスヤスヤと眠っていた。
するとユサユサと揺すられている気がした。夢の中なのか、現実なのかはハッキリしなかった。
声が聞こえた。
「おきて…ねぇおきておにいちゃん」
目を開けるとその頃は溺愛していた弟の姿があった。その頃は本当に愛らしかったが今では憎たらしさの化身だ。
「どうしたの?」と声をかけた。
「…うんちもれちゃった」と返ってきた。
一瞬混乱した。うんちってのはトイレでするものだ。布団の上でもれることなんてあり得ない。おしっこなら分かるけど。寝ぼけた小学生の頭は混乱していた。
「分かった。大丈夫」
ハッキリと言葉は覚えていないが、とにかく弟を安心させるための言葉と頭を撫でた感覚だけはハッキリ覚えている。
とにかく辺りを見回した。布団の上に茶色の物体がいくつか転がっている。潰れたものもある。そう、うんちだ。
なぜそうなったかは分からない。おそらく初めもれた時は起きずに寝相でコロコロ転がったのではないだろうか。その時にうんちも転がったのではないだろうか。
とにかく布団は置いておいてだ。弟のパンツの中は今でも大変なことになってしまっているに違いない。
そう思った僕はとりあえず弟をトイレに連れて行った。
一番にしたのは弟のズボンとパンツを脱がせることだ。
慎重に慎重に…ブツが落ちないように。爆弾処理班も驚きの集中力で。
無事、脱がすことができた。額には一滴の汗が滴り落ちる。
とりあえずいまだパンツに存在するうんちを便器の中に落とすことに成功した。
次は弟のお尻をきれいに磨きあげる作業に移行する。
トイレットペーパーを引き出し、切る。そしてお尻をソフトに拭き取る。
また引き出し、切り、拭く。
足についている部分も拭き取った。同じ血が流れているからであろうか、意外と嫌悪感はなかった。
否、弟のだからであって、兄としての使命感があったからであって、他の兄弟のは見たくもない。
その時は弟への愛も深かったのであろう。その時は。
そして弟の体を拭いたあと、ズボンとパンツ、布団をどうしようか考えていたら…
「ガチャガチャ」と音が鳴った(ホラーではない)
母親が帰って来たのである。
「え?どうしたの?」
深夜に二人で起きていたことからもう不思議であったのだろう。
僕の血と汗と涙と愛でごちゃ混ぜになった努力の身の上話を語った。
次の日、母はデニーズのパートを辞めた。